「矯正歯科治療契約書」に関する説明−2
【タイトルについて】
- タイトルは、「矯正歯科治療契約書」でも、「矯正歯科治療に関する確認書」でも構いません。法的な効力に差はありません。あまり硬い言葉を使いたくない場合には、「矯正歯科治療に関するお約束」等でも構いません。
【契約の取り交わし時期】
- 患者さんの精密検査を行い、その後に、詳細な診断・治療方針・方法等の説明を行った後に、その確認のために契約書を取り交わす手順で進めてください。場合によっては、患者さんに一旦持ち帰っていただいて、ご自宅でご家族を含めて協議・再考されることをお勧めされた方が良い場合もあることも考慮してください。
【患者さんと医療者との関係について】
- 矯正歯科治療を患者さんから依頼されて、それを矯正歯科医師が受けた場合に、双方の間で「治療契約(医療契約とも言いますが、ここでは「治療契約」と称します)」が締結されたことになります。
- 法律的には、治療契約は文書で示していなくても成立します。それ故に、行き違いが生じることがありますので、文書化されることを強く推奨します。
- 同じく、治療を終了・中止する時には「治療契約関係」を解消(清算)することになります。治療契約を解消する際には、単に終了・中止する旨の通知に止まらず、終了・中止時点での状況説明と、今後起こりえる事柄とそれに対する対応案を説明して下さい。又、治療契約を解消したことを示すために、文書化されることを推奨します。
- 治療を中止・終了する時に付随して、治療費の精算を行って下さい。特に、基本料金については、終了・中止時点で未治療分相当(未履行分)を預かっている事になる場合がありますので、治療済みの割合で計算して余分な預かり金を返金する必要があります。逆に、基本料金が分割払になっている場合等で治療の進行状況に対して治療費の未払い金がある場合には、既に行った治療に見合う金額を計算して、足らない金額を追加で請求することになります。
- 患者さんに対してのオープンマインドを重視するために、患者さんに対して「ご不明の点はいつでも担当矯正歯科医師にお尋ねください」と記載してあり推奨しますが、もし、「いつでも」を記載されたくない場合には、この部分を削除されても構いません。
【用語について】
- 用語として、「歯列矯正」、もしくは「矯正」単独で用いることなく、標榜科名である「矯正歯科」と表記することを推奨します。
- 「患者」と記載する箇所は、親しみと対等性を表現するために「患者さん」と表記することを推奨します。
- 「担当矯正歯科医」と表記することによって、より専門性を主張することも可ではありますが、法律上の用語としては「歯科医師」が良いので、ここで「矯正歯科治療を主に担当する歯科医師(以下「担当矯正歯科医師」を称す)と表記することを推奨します。
- 矯正歯科治療に用いる「装置」等の表記に関しては学術用語にこだわらなくても良いので、「装置」を「装具」と、また、「装着する」を「設置する」と、「植立する」を「装着 or 設置する」等と、記載しても構いません
- 前述の【患者さんとの関係について】の1から4に記載されているように、治療の終了・中止時等には「治療契約」関係を「解消」することになり、それに付随して、基本料金の過不足がある場合には、治療費の「精算」を行います。そこで、「治療契約関係を解消」し、「治療費を精算」すると言う用語を用います。
【開設管理者の表記に関して】
- 開設管理者と直接矯正歯科治療を担当する歯科医師の両方を記載することによって、医療行為・契約行為の責任が両者にあること、特に開設管理者に大きな責任があることを示唆してあります。
- 医療行為・契約行為に関わる責任は、医療施設の責任者だけでなく、その施設で実際の治療にあたっている、常勤の歯科医師、非常勤のアルバイトやフリーランスの両者にあること認識していただくために両者を記載します。